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やがて番頭は階下から将棋の盤を運んだ。それを仕立屋の前に置いた。二枚落しでいこうと番頭が言った。仕立屋は二十年以来ぱったり止めているが、万更でも無いからそれじゃ一つやるか、などと笑った。主人も好きな道と見えて、覗き込んで、仕立屋はなかなか質たちが好いようだとか、そこに好い手があるとか、しきりと加勢をしたが、そのうちに客の敗と成った。番頭は盃さかずきを啣ふくんで、「さあ誰でも来い」という顔付をした。「お貸しなさい、敵打かたきうちだ」と主人は飛んで出て、番頭を相手に差し始める。どうやら主人の手も悪く成りかけた。番頭はぴッしゃり自分の頭を叩たたいて、「恐れ入ったかな」と舌打した。到頭主人の敗と成った。復た二番目が始まった。
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