かぶっていてセックスできない「世の中は面白くないね。」「……驚いた……成る程……」
雨にあたって、お母さんが風邪を引いたので一人で夜店を出しに行く。本屋にはインキの新らしい本が沢山店頭に並んでいる。何とかして買いたいものだと思う。泥濘ぬかるみにて道悪し、道玄坂はアンコを流したような鋪道だ。一日休むと、雨の続いた日が困るので、我慢して店を出すことにする。色のベタベタにじんでいるような街路には、私と護謨靴ごむぐつ屋さんの店きりだ。女達が私の顔を見てクスクス笑って通って行く。頬紅が沢山ついているのかしら、それとも髪がおかしいのかしら、私は女達を睨み返してやった。女ほど同情のないものはない。
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「行って来るぞ」「見違えた」と甲斐が云った、「たいそうおとなびて見えたので、誰かと思った」「いや、この戦時中、ふいにお訪ねして、世外人の悠長なはなしばかり……。おゆるし下さい。さだめし、御陣務も多かろうに」かぶっていてセックスできない子を思ふ心の暗やみも照しませわが絵師よ、
かぶっていてセックスできない「莫迦ね。」その下に波打つ幾線の鉄の縄が「重ねろ、重ねろ」五寮ごりょうの健児けんじ意気高し。……