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要するに「いき」とは、わが国の文化を特色附けている道徳的理想主義と宗教的非現実性との形相因によって、質料因たる媚態が自己の存在実現を完成したものであるということができる。したがって「いき」は無上の権威を恣ほしいままにし、至大の魅力を振うのである。「粋な心についたらされて、嘘うそと知りてもほんまに受けて」という言葉はその消息を簡明に語っている。ケレルマンがその著『日本に於おける散歩』のうちで、日本の或る女について「欧羅巴ヨーロッパの女がかつて到達しない愛嬌をもって彼女は媚こびを呈した{4}」といっているのは、おそらく「いき」の魅惑を感じたのであろう。我々は最後に、この豊かな特彩をもつ意識現象としての「いき」、理想性と非現実性とによって自己の存在を実現する媚態としての「いき」を定義して「垢抜して(諦)、張のある(意気地)、色っぽさ(媚態)」ということができないであろうか。
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