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これと殆ほとんど同時に、終吉さんのやや長い書状が来た。終吉さんは風邪ふうじゃが急に癒いえぬので、わたくしと会見するに先さきだって、渋江氏に関する数件を書いて送るといって、祖父の墓の所在、現存している親戚交互の関係、家督相続をした叔父おじの住所等を報じてくれた。墓は谷中やなか斎場の向いの横町を西へ入いって、北側の感応寺かんのうじにある。そこへ往いけば漁村の撰んだ墓誌銘の全文が見られるわけである。血族関係は杵屋勝久さんが姉で、保さんが弟である。この二人の同胞はらからの間に脩おさむという人があって、亡くなって、その子が終吉さんである。然るに勝久さんは長唄の師匠、保さんは著述家、終吉さんは図案を作ることを業とする画家であって、三軒の家は頗すこぶる生計の方向を殊ことにしている。そこで早く怙こを失った終吉さんは伯母おばをたよって往来ゆききをしていても、勝久さんと保さんとはいつとなく疎遠になって、勝久さんは久しく弟の住所をだに知らずにいたそうである。そのうち丁度わたくしが渋江氏の子孫を捜しはじめた頃、保さんの女むすめ冬子ふゆこさんが病死した。それを保さんが姉に報じたので、勝久さんは弟の所在ありかを知った。終吉さんが住所を告げてくれた叔父というのが即ち保さんである。是ここにおいてわたくしは、外崎さんの捜索を煩わずらわすまでもなく、保さんの今の牛込うしごめ船河原町ふながわらちょうの住所を知って、直すぐにそれを外崎さんに告げた。
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